盛土規制法
盛土規制法とは
盛土規制法とはがけ崩れや土砂の流出が発生しやすい区域を定め、災害を防止するためにその区域内で行う工事のルールを定めたものです。
指定区域としては宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域・造成宅地防災区域の3つがあります。
宅地造成等工事規制区域
| 指定 | 都市計画区域の内外を問わず 市町村長の意見を聞いて都道府県知事が指定 |
|---|---|
| 場所 | 市街地や集落、その周辺 |
| 許可・届出 | 工事の着手前に都道府県知事の許可が必要 工事計画の変更も許可 軽微な変更は遅滞なく届出 |
| 区域内の宅地所有者 | 宅地の保全義務 勧告・改善命令 |
特定盛土等規制区域
| 指定 | 都道府県知事 |
|---|---|
| 場所 | 宅地造成等工事規制区域外 市街地や集落から離れているエリア |
| 許可・届出 | 区域内で工事する場合都道府県知事へ |
| 規制対象 | 特定の盛土や土石の堆積に関する工事のみ |
宅地造成工事の許可
宅地とは農地・採草牧草地・森林・公共施設用地(道路・公園・河川など)以外の土地のことをいい、宅地造成とは宅地以外の土地を宅地にするため、土地の形質の変更を行うことをいいます。
下記の宅地造成の場合は、都道府県知事の許可が必要です。
- 高さ1mを超える崖が生じる盛土
- 高さ2mを超える崖が生じる切土
- 盛土と切土が同時の場合、合算して2mを超える崖が生じる
- 高さ2mを超える盛土
- 盛土、切土をする面積が500㎡を超える
また下記の一時的な土石の堆積も許可が必要です。
- 堆積する高さが最大2m超かつ面積が300㎡超
- 堆積する面積が最大500㎡超
許可の手続き
許可の申請者は工事主つまり宅地造成等に関する工事の請負契約の注文者または自らその工事をする人です。
都道府県知事は許可があった場合は遅滞なく、許可/不許可の処分をしなければなりません。
その際に災害防止に関して必要な条件を付けることができます。
なお工事主が国または都道府県の場合は知事との協議が成立したことをもって、許可があったとみなされます。
工事の届け出が必要な場合
宅地造成に該当しない工事は基本許可は不要ですが、下記の場合は届出が必要です。
| 指定があった日から21日以内 | 宅地造成等工事規制区域指定の時にすでに工事が行われていた場合 |
|---|---|
| 工事着手の14日前まで | 宅地造成等工事規制区域にて擁壁や排水施設等の除去工事を行おうとする場合 |
| 転用した日から14日以内 | 公共施設用地など宅地以外の土地を宅地に転用した場合 |
| 遅滞なく届出 | 工事の許可を受けたあと、工事計画の軽微な変更を行う場合 |
工事の技術的基準
以下の場合は政令で定める有資格者により設計する必要があります。
- 高さ5mを超える擁壁を設置する場合
- 盛土または切土する面積が1500㎡を超える土地で、排水施設を設置する場合
工事の定期報告
工事の許可を受けた者は一定期間ごとに、工事の実施・進捗状況を都道府県知事に報告する必要があります。
中間検査と完了検査
宅地造成または特定盛土等に関する工事で、排水施設設置の工程を含む場合は、工程完了から4日以内に都道府県知事の中間検査を申請する必要があります。また工事が完了した日から4日以内に都道府県知事の完了検査を申請する必要があります。
その他の規制
宅地の保全義務
宅地造成等工事規制区域内の宅地の所有者・管理者・占有者は宅地造成に伴う災害が発生しないよう宅地を常に安全な状態に維持しなくてはいけません。
改善命令
宅地造成等工事規制区域内の宅地で災害の恐れが大きいと認められるときは、宅地の所有者・管理者・占有者に対して擁壁の設置・改造または地形改良の盛土などの工事を命ずることができます。
勧告
宅地造成等工事規制区域内の宅地で災害の恐れが大きいと認められるときは、宅地の所有者・管理者・占有者に対して擁壁や排水施設の設置・改造など必要な措置を勧告できます。
立入検査
宅地造成等工事規制区域内で工事主に許可を与える際の検査のためには他人の土地であっても職員を立ち入らせることができます。
報告の徴取
宅地造成等工事規制区域内の所有者・管理者・占有者に対して工事に対しての報告を求めることができます。
