建築基準法の容積率と建ぺい率
容積率と指定容積率
容積率とは敷地面積に対する建築物の延べ床面積の割合で、容積率が30/10の地域では、100㎡の敷地に最大で延べ床面積300㎡の建築物が建てられることになります。
指定容積率とは用途地域ごとに定められている容積率のことです。
たとえば第一種住居地域では、10/10、15/10、20/10、30/10、40/10、50/10と指定容積率が定められていますので、この中から適切な数字が都市計画で指定されるというわけです。
前面道路の幅員による容積率の制限
前面道路の幅員が12m以上 | 指定容積率がそのまま容積率の上限 |
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前面道路の幅員が12m未満 |
のいずれか小さいほうを適用 |
法定乗数とは

法定乗数とは用途地域が住居系であれば4/10が非住居系であれば6/10がそれぞれ定められています。
前面道路の幅員が狭いほど、また建築物に住んでいる人が多いほど制限が厳しくなります!
複数の道路に面していたら?
もしも対象の建築物が複数の道路に面していたら、幅員の広い方の道路が前面道路となります。
容積率が違う地域にまたがっていたら?
1つの敷地が容積率の異なる複数の地域にまたがっていた場合は、加重平均で計算します。
【敷地面積250㎡・前面道路12m】
150㎡が30/10、100㎡が40/10にまたがっている場合
(150×30/10+100×40/10)÷250=34/10
つまりこの敷地の容積率は34/10ということになります。
容積率の特例
下記の部分は延べ面積に算入されません。
- エレベーターの昇降路部分
- 共同住宅・老人ホーム等の共用部分の廊下や階段
- 特定行政庁が支障なしと認めた住宅または老人ホーム等の機械室
特定行政庁による許可
敷地内に空き地があり、かつその面積が一定以上である建築物については、特定行政庁が建築審査会の同意を得たうえで許可したときは、容積率の限度を超えることができます。
建ぺい率とは
建ぺい率とは敷地面積に対して建築できる面積の割合のことです。
もしも建ぺい率が10分の6と定められていた場合、100㎡の敷地には60㎡分しか建築物を建てることができません。
建ぺい率は都市計画区域や用途地域ごとに異なり、建築物の種類によっても異なります。
候補が複数ある場合には、都市計画で具体的な数値が定められます。
建ぺい率の緩和
防火地域及び準防火地域において、防火性能の高い建物は建ぺい率が緩和されます。
具体的には下記の建築物については建ぺい率が10分の1加算されます。
- 建ぺい率の最高限度が10分の8ではない地域で、かつ防火地域内にある耐火建築物等
- 準防火地域内にある耐火建築物等または準耐火建築物等
角地の建ぺい率の緩和
街区の角地にあって特定行政庁が指定する建築物の場合は、都市計画で定められた建ぺい率に10分の1を加算した数値が建ぺい率となります。
上記を両方満たす場合
上記、防火地域・準防火地域の緩和要件と角地の緩和要件どちらも満たすと、10分の2を加算した数値が建ぺい率となります。
建ぺい率の制限が適用されない例外
建ぺい率が違う地域にまたがっていたら?
建ぺい率が違う地域にまたがっている場合は各地域の(建ぺい率×当該の敷地面積/全敷地面積)を足し合わせた数値がその敷地の建ぺい率となります。
【敷地面積200㎡】
建ぺい率がそれぞれ8/10と6/10に100㎡ずつまたがっている場合
(100㎡/200㎡×8/10+100㎡/200㎡×6/10)=7/10
つまりこの敷地の建ぺい率は7/10ということになります。