賃貸仲介業のメリットデメリット
不動産屋を開業する際にはターゲット層や扱う取引の種類を考えておく必要がありますが、取り扱う取引の種類は大きく分けて“売買"と“賃貸"の2種類となります。
そこでまず賃貸仲介業を行う際のメリット・デメリットについてご紹介します。
賃貸仲介業のメリット
まず賃貸仲介業の大きなメリットを下表にまとめています。
賃貸仲介業のメリット
| 成約を取りやすい |
何千万もする売買物件と比べて、賃貸仲介は成約がとても取りやすいです。 「大学に通う4年間だけ住めれば」とか「何かあれば引っ越せば良いや」とか「設備は多少妥協しても家賃〇万円以内で住みたい」といったニーズが多く、営業マンの人間性というよりも物件自体や立地の良し悪しで成約につながるケースが多いです。 とはいえ「なぁんだ、、部屋探しかぁ」くらいにテキトーに対応してしまうとお客様は静かに逃げていきます。 後述の「希望条件シート」などをしっかり利用した上で、お客様の希望に限りなく近いまたは想定を超えるような物件紹介ができると成約になる確率がグッと上がりますし、住み替えの時や知人紹介の際の部屋探しもお手伝いできる確率が高まります。 |
| 安定した収益につながる |
前述の"成約を取りやすい"にも繋がりますが、賃貸仲介業は成約のハードルが低いゆえに月に数本の成約は普通です。 賃貸の成約になれば仲介手数料が手に入るので、収益が安定しやすいのです。 |
| 初心者でも始めやすい |
あくまでも売買仲介と比べて…という意味ですが、先ほど述べたように賃貸は入居期間が初めから決まっていたり、何かあれば転居してしまえば良いというニーズがとても多いので、不動産に関する知識がそこまでなくても成約につながる可能性が大きいです。 ローンも不要ですし、重要事項や契約書面も馴染みのある文言が多いので、開業初心者の方でも普通にやればきちんと成約につながります。 |
賃貸仲介業のデメリット
続いて賃貸仲介業の大きなデメリットもご紹介しておきます。
賃貸仲介業のデメリット
| 成約を取り続ける必要がある |
賃貸仲介業は成約が取りやすい分、仲介手数料も少ないです。 具体的には賃貸の仲介手数料=賃料の1か月分⁺消費税が上限です。 つまり月5万円の賃料の物件で成約したら5万5,000円が仲介手数料の上限となり、それだけでは事業を継続するのは難しいので、成約を毎月取り続ける必要があります。 大家さんには毎月家賃収入が入りますが、仲介した不動産屋にはこの仲介手数料が1回きりしか入らないので、やはりたくさんのお客様から継続的に成約を取り続ける必要があるんですね。 もちろん物件を管理して管理料を毎月もらう手もありますが、どうでしょう…なかなかハードルが高い方も多いんじゃないでしょうか。 |
| 接客を磨く必要がある |
不動産売買と違い、賃貸を求めるお客様はまさに老若男女、年齢も性別もニーズも人間性もバラバラです。 たとえばご高齢の方にバリアフリーのお部屋をご紹介することもあれば、若いギャル風のカップルにアゲアゲの物件を紹介することもあり、もちろん同じ日にこんな正反対のお客様を接客することもよくあります。 つまりそのお客様ごとのご希望を正確に汲み取ったうえで、そのお客様に合う接客をする必要があるのです。 先ほど述べたように、賃貸仲介は成約数が命ですから、「あーぁこの客合わねぇな」で片付けるわけにもいきません。 賃貸仲介業を行う際は接客の技術を日々磨いておく必要があるのです。 「住みたいなら良い物件紹介してやるよ」のスタンスでは絶対に成約にはなりません。 |
賃貸仲介業の実務の流れ
さて上記のメリットデメリットを理解したうえで「賃貸仲介業をやろう」と思ったあなたに賃貸仲介業の実務の流れを時系列でご紹介します。
あなたが借主側か貸主側の業者かにより流れが違うので、それぞれ分けて書いています。上手くいくポイントも記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【借主側】の実務の流れ
「部屋を探してるんです、紹介してください!」と言われた借主側業者の実務の流れです。
- 希望条件の確認・ヒアリング
まずは「希望条件シート」などを活用してお客様の希望条件を確認しましょう。
ポイントとしてはただ言っていることを聞くのではなく、なぜそこ?と気になった場合は深掘りしたり、お客様が言わない隠れた希望を明らかにすると信頼を得やすいです。
- 物件を探す
レインズやアットホーム、地元の不動産屋さんの情報からお客様の希望に合う物件をピックアップします。
レインズなどネット上で情報を見つけた場合は、管理会社に“本当に空いているか"や"どの部屋に空きがあるのか"はしっかり確認しておきましょう。
更新が面倒だとか忙しくて更新できなかったということはよくあります。
ろくに確認もしないでお客様に紹介後、やっぱ空いてませんでしたぁでは笑えませんので。
- お客様に情報を提供する
お客様の希望に沿うであろう物件情報を何件か提供します。
この時は同じような物件だけでなく、条件が違う物件も併せて紹介するとお客様の真の希望が見えやすいです。
初めの物件紹介はとにかくスピード!
件数や条件にこだわらず出来るだけ早く提示するのがポイントです。
物件資料を取り寄せるとほぼ間違いなく一番下にその不動産屋の情報が記載されています。
どんなにスピード勝負でもその"帯"は自社の物に変えておいてください。
“帯"を変え忘れるとせっかくのお客様がそっちの業者に流れる可能性が高いです。
- 現地案内
電話やメールなどでお客様が気に入ってくれた物件が揃えば現地を案内して内見です。
内見ができない物件の場合は同種の別部屋や写真などを使ってご紹介します。
紙で見る情報と実際の内見時で印象が変わる場合もあるので、お客様の変化を見逃さないようにしましょう。
また案内する物件数は5件くらいがいいと思います。
物件が多すぎると成約にならないので、内見までに5件程度が揃うようにきっちりヒアリングしておきましょう。
- 入居申込書の記入
紙での情報および内見で気に入ってもらえたら出来るだけ早いタイミングで入居申込書に記入してもらいます。
というのも、どんなにこちら側が気に入ったとしても入居できなければ意味ありませんから、お客様が了承すればその場で申込書を書いていただいて問題ありません。
申込の撤回はできる?
契約書と違い入居申込書を撤回することはお客様にとっては大したリスクはありません。
ただし"申込"と記載されているように貸主がOKを出せば入居する流れとなります。
もしも申込を撤回してもお客様にリスクはありませんが、借主側の仲介業者は大家さんや管理会社から信頼を失い、とても大きなリスクとなります。
成約欲しさに急かしすぎて後から「やっぱり他の物件も考えたいので、今回の申し込みは流してください」なんてことになるとあなた自身が困ります。
お客様の意思と申し込みのスピードはバランスを見ながら進めていきましょう!
- 諸費用・総額の説明
物件が決まれば、賃料だけでなく諸費用の詳細もおのずと決まりますので、物件情報をもとに賃料以外に必要な諸費用などを計算し、見込みの初期費用総額を説明します。
あらかじめ大家さんや管理会社に支払い方法や支払期日を確認しておくのを忘れずに!
賃貸に必要な諸費用
| 敷金 |
借主が家賃の滞納や退去時の修繕費のために、大家さん(貸主)に預けておくお金です。 退去時に家賃の滞納や退去時の修繕等がなければ、借主に返還されます。 |
| 礼金 |
物件を借りるときに、借主が大家さん(貸主)へ支払う謝礼金で、敷金とは違い退去時も返還されません。 つまり礼金はそのまま貸主の収入となります。 |
| 保証金 |
個人の賃貸というよりも事業用物件で設定されることが多く、義務の履行や家賃滞納や破損の補修などの担保として、相手方に預け入れるお金のことです。 退去時に補修代などを引いて返還されるケースもあれば、礼金のように一部を差し引かれる場合もあります。 |
| 家賃・駐車場代 |
初期費用としては入居日から月末までの日割り家賃と翌月1か月分を請求するケースがほとんどです。 駐車場がない、借りない場合には家賃のみの請求です。 |
| 共益費 |
マンションやアパートなどエレベーターや階段・廊下といった共用部分の維持管理に使われるお金です。 共用設備が整っているマンションほど高く、簡易的なアパートは安い傾向があります。 |
| 火災保険料 |
建物全体は大家さんが保険に入っていますが、各部屋で万が一の火災などを起こした際の保険です。 保険会社は管理会社が指定しているケースが多いので、あらかじめ情報や金額を確認しておきましょう。 |
| 仲介手数料 |
仲介手数料は取引を仲介した不動産屋が受け取る報酬で、受け取れる上限額は賃料1か月分と消費税です。 ただし基本的に貸主と借主が半分ずつ負担することになっており、借主の承諾がなければ賃料半月分と消費税が上限額となります。 |
| そのほか雑費 |
物件によっては鍵交換費用やクリーニング代などが請求される場合があります。 お客様から入居申し込みをもらったタイミングで上記すべての費用と支払方法・タイミングはきっちり確認しておきましょう。 |
- 重要事項の説明
重要事項説明書とはその物件の説明書きのことです。
「あなたが今から借りる家はこういう物ですよ」ということを書面を見ながら宅建士が説明します。
お客様にとっては部屋を契約するか最後の砦となりますから、きっちり説明するのはもちろん、不明点は曖昧ではなくはっきり解決してあげましょう。
- 賃貸借契約
重要事項説明にご納得いただければ賃貸借契約に移ります。
賃貸借契約は重要事項説明と同時に結ぶことが多いです。
- 初期費用の清算
あらかじめ説明しておいた初期費用をお客様に清算していただきます。
念のため借主側の業者としてお客様が無事に期日内に所定の初期費用の清算が出来ているか確認しておきましょう。
- 鍵の引き渡し・入居
いよいよ鍵を引き渡して入居開始となり、仲介業者の仕事は一旦これで終了となります。